脊椎手術の成功する病院選びのコツ(失敗する病院を避ける方法)

看護役立ち情報

皆さん、こんにちは。

脊椎の手術をうける場合、どのように病院を選択したら良いのでしょうか??

もも
もも

医療系の雑誌で手術件数の多い病院を選択すれば良いんじゃないですか??

ひろくま
ひろくま

手術件数がある程度多いと、医師の手術スキルは上がるから、病院選択での1つの要素だよね。ただ、本来必要のない手術や回復の見込みの少ない手術をしているだけの可能性があって、手術件数が多い=手術を安全に受けられる病院とは限らないんだよ

🌟この記事を通して理解できること
安全に手術できる病院と手術を避けるべき病院の特徴を理解できる
安全に手術できる病院かを判別できる可能性が高まる

脊椎手術の病院選択の必要性

10年ほど前までは、安全に脊椎手術を受けられる病院は限られた施設で、失敗したら車椅子生活になるかもしれないと考える人たちも結構いました。

今では、脊椎手術の技術や術式、器材なども格段に進歩し、どの総合病院でも、ある程度の脊椎手術を安全に受けられるようになりました。

失敗して車いす生活になるかもと不安を訴えた患者や家族は、ここ数年、数百人の症例で一人からも聞いたことはありません。

ただし、手術に失敗しない=手術に成功するとは限りません

以下のケースがあるからです。

手術をして回復の可能性が低い症例でも、手術をすれば改善するかのように患者説明し、手術をしている病院がある
✅少数ながらも、神経損傷して車いす生活になったり、体幹から下肢にかけて麻痺し起き上がりすらできなくなった患者が存在する
✅侵襲度の高い手術をすることで、手術を何度も繰り返す体質になってしまう患者が、今まで何百人と存在する
✅どんなに高名で技術のある医師に受診しても、実際に手術する医師は違う医師が手術するケースがあり、なかには失敗例が存在する
✅手術の侵襲度が低ければ、もともと侵襲が少ないため、手技的に失敗しても一時的に手術して良くなった気分になる場合がある

成功する脊椎病院のポイント

わたしは、今まで年間数百件の手術を行っている複数の病院で勤務し、20人近くの脊椎外科医や10人以上の日本脊椎脊髄病学会指導医・認定医の手術実績をみてきました。

また、年間数百件の手術を行っている数施設の評判や内情を知っています。

その経験から、手術して成功する可能性の高い病院と、手術を避けた方が良い病院の見分け方がわかるようになりました。

成功する病院選択のポイントとして以下が挙げられます。

①手術に特化した脊椎病院は避けた方が良い(ペインクリニックを併設している場合は別)
②複数の治療方針に対して患者が自由に選択できる(保存療法も提示)
③過剰な手術件数の病院は避ける
④近隣で高評価の病院を選択する
⑤高侵襲度の手術ばかりを行う病院は避けた方が良い

⑥日本脊髄外科学会指導医・認定医が勤務している
⑦ベストオブドクターの在籍している病院を選択する

1つずつ詳細を説明していきます。

①手術に特化した専門病院は避けた方が良い

手術をしても、痺れや痛みなどの症状が改善するとは限りません。

良心的な医師であれば、手術をすれば改善する可能性を説明しても、手術をすれば症状が改善するとは説明しません。

ただ、なかには手術すれば99%は回復するなどと、吹聴する医師も存在します。

手術に特化した脊椎病院は、手術件数を多くこなすことで利益をあげています。

なかには、手術件数に応じて、年収が歩合制になっている病院も存在します。

保存療法では何人の患者をみても歩合に反映されないため、保存療法の患者には興味が薄く対応もなおざりになりやすいです。

本来手術の必要性が少ない患者でも、患者や家族が望んだ(選択した)として、手術をする場合があります。

初診ですぐ手術を勧められる病院には注意が必要です。

②複数の治療方針に対して患者が自由に選択できる

先ほど述べた通り、手術をすれば、つらい症状が劇的に軽減したり消失すると考えるのは早計です。

手術は魔法ではありません。

あくまで悪化予防としての手段の1つです。

なかには、手術で症状が消失する場合もありますが、その状態が長続きするかは別問題なのです。

また、脊椎手術で緊急性の高く、ただちに手術が必要なケースはそれ程多くないです。

痛みや痺れに対し、看護師でも効果のとぼしいと予見できる鎮痛剤を処方し、効果がないと手術を進めたり、症状の進行をあおって手術を急かす病院もあります。

治療方針は、医師が一方的に決定せず、患者や家族が自由に選択する権利があります

例えば、初診で後縦靭帯骨化症と診断し「今は症状は落ち着いているが、放置して症状が進行して転倒すると、へたをすると半身不随になる」などと発言をする医師もいるのです。

「何度も患者に病院に足を運ばせるのは申し訳ない」「スピード感を重要視し、初診で診断し方針を決定する」などと、一見聞き心地の良い言葉を並べてきます。

重度の症状があっても、手術して回復の見込みが低いケースや、手術するとかえって脊椎の支持性が低下して手術を繰り返すリスクが高い患者では、当然ながら手術は断られるケースが多くなります。

そんななか「今まで生活がつらかったでしょう。あなたとわたしは、(疾患に対し)たたかう同志です。ともに頑張りましょう。患者1人1人に合わせたオーダーメイドの手術を提供します」と両手で握りしめられれば、散々手術を断られ続けた患者や家族、特に高齢者では骨抜き状態にされます。

一部の患者は、感激のあまり感情失禁して「先生お願いします」と涙します。

いかに初診で手術に誘導するかが重要なので、非常に話術に長けているのです。

実際には、患者や家族が冷静な判断のつかない間に、初診に近い段階で手術を決定し、次回の来院時は入院し、翌日手術していた患者を何百人と見てきました。

何をするのかも分からず、ただ手術をすれば良くなるとの医師の言葉を信じているだけで、術後疼痛や術後の外固定やリハビリの重要性、術後の日常生活動作や日常生活の制限について、理解し手術にのぞむ患者・家族はほとんどいない状態でした。

手術ありきではなく、保存療法についても選択可能で、ある程度の期間は投薬治療やブロック療法で様子を見る姿勢がある病院で手術することをお勧めします。

現在の治療は、患者参加型(選択型)が主流です。

患者に複数の治療法を提供し、患者自身が自由に治療方針を選択し、治療に参加する権利と義務があるのです

医師が一方的に、初診で手術日を決定するような病院は、避けた方がよいでしょう。

③過剰な手術件数の病院は避けた方が良い

手術件数が多い程、手術慣れしており、安全に手術を受けられるという発想があります。

確かに、手術件数が多いほど、手術慣れしている医師が多いため、安全に手術を受けるための1つの判断指標にはなりますが、確定材料にはなり得ません。

なぜなら、本来手術しても良くなる見込みの薄い手術や、まずは保存療法で様子をみるべき患者でも、手術を強行しているだけの可能性があるからです。

また再手術が異常に多い可能性もあります。

過度に手術件数の多い病院には注意が必要です

また、雑誌に記載されている手術件数は、データの裏付けの提出義務があるわけではなく、あくまで自己申告数です

病院の良心に従って提出された数値をもとに掲載され数値に誤りがあっても罰則規定はないことも知っておいてくださいね。

あくまで参考程度にしましょう。

個人的には年間100件以上の脊椎手術件数がある病院をお勧めします

また、内視鏡手術なら、内視鏡手術だけで年間100件以上の病院にしましょう。

内視鏡手術を希望する場合に、開創術は200件やっていても、内視鏡手術は年間数十件しかやっていなければ意味がないです。

④近隣で高評価の病院を選択する

手術を検討する場合には、脊椎病院に受診する前に、近隣のクリニックを受診して評判を確認するのがベストです。

ブラックな病院は、近隣の医師やクリニックから評判が悪いです。

開業医にとって、ブラックな病院を勧めて手術を失敗された場合には、自らの地域での評判を落として廃業するリスクがあります

それだけ、評判や口コミは重要なのです。

近隣の病院から紹介される病院は一定の安心感があると判断して良いでしょう

ただし1点注意点があります。

紹介された病院との医師との関係性繋がり)は確認しておきましょう

出身大学が同じであるとか、紹介先の病院の外来医や顧問をやっている場合には、単に癒着している可能性もあります。

他の近隣クリニックの評判も聞いた方がよいかもしれません。

⑤高侵襲度の手術ばかりを行う病院は避けた方が良い

現在の手術は低侵襲手術(内視鏡手術)が主流です

固定術や開創での除圧術などが一部必要な場合もありますが、腰椎すべり症や側弯症などでも、骨切り術や固定術ありきの時代ではありません。

固定術などでは、2~3椎間の手術をするとインプラント代も含め、数百万円の売上になります。

その点、内視鏡では2~3椎間の手術をしても、数十万円の売上しかなりません。

さらに内視鏡手術では、高い技術力が求められるうえに器材代も高価で、固定術に比較すると薄利な手術なので、ブラックな病院では内視鏡手術の実績がほとんどありません

体裁上、内視鏡手術も行っていますが、病院のホームページでの手術実績での術式の分類をみれば、内視鏡手術と開創術との割合は一目瞭然です。

内視鏡手術をメインで行っている低侵襲手術できる病院をお勧めします

⑥日本脊髄外科学会認定医・指導医が勤務している

日本脊髄外科学会認定医や指導医は、手術件数や論文などの案件をクリアしないと取得することができません。

整形外科専門医の医師で発見や判別できない脊椎疾患を鑑別できる可能性があります。

脊椎のスペシャリストであるため、認定医か指導医が常勤の病院をお勧めします。

⑦ベストオブドクターがいる病院を選択する

ベストオブドクターとは、ベストドクターズ社が医師に対して「自身または家族の治療を、自分以外の誰に委ねるか」の質問を行い、同じ専門分野の他の医師の評価をアンケートします。

最終的に、調査結果から一定以上の評価を得た医師のみが「Best Doctors in Japan」として認定される制度です。

どんなに病院の手術件数が多かったり、一見上は口コミや評判がよくても、ベストオブドクターがいない病院は、同じ分野の医師達から評価されていない=医師は自分や家族の治療を委ねたくない=患者にとっても信頼度の高い病院でない可能性があります

ベストドクターズ社は、30年近く、医師間の相互評価を通し「医師間で信頼されている医師」のデータベース構築に取り組んだ実績があり、医師同士が相互評価する調査として医療界最大級です。

現在450以上の専門分野と副専門分野に及ぶ医師が53000名以上入力され日本でBest Doctors in Japan(ベストドクター)に認定されている医師は約6500名です

なお、ベストドクターズ社の医師は、登録制出願制でないことも評価できます

もちろん、ベストオブドクターがいなくてもホワイトな病院はあります。

同じ病院の医師間でも技術差は大きく、どの病院に受診するかと同じく、どの医師が手術するかで大きな分かれ道になります

医師選びの一つの手段として、ベストドクターの存在は役立つでしょう。

また、脊椎専門病院で多くの医師が在籍しているにもかかわらず、ベストオブドクターが1人もいない病院は、慎重に病院調査しましょう

まとめ

現在は、脊椎手術も標準治療として技術が確立され、近隣の総合病院などでも比較的安全に治療できるようになりました。

ただ、低侵襲の内視鏡手術でも、何度も手術による除圧が大きくなれば、脊椎の支持性や安定性が低下して症状の悪化をまねく事態になります。

まして、固定術や骨切り術(固定術との併用が多い)などを行い、隣接椎間障害やスクリューの脱転、スクリューやロッド破損を繰り返すと、取り返しがつきません。

あとでどんなに手術したことを悔いても、なかなか他の病院では再手術やフォローしてもらえません。

最後に手術やフォローした病院が、最終責任(リスク)を負うからです。

今回、紹介した7つの手段を使用すれば、少なくともわたしの知る複数のブラック病院は排除でき、ホワイトな病院で手術できる可能性は高まります。

この記事が脊椎手術を受ける方々に少しでも役立てば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

                         ひろくま(HIROKUMA)

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