こんにちは。ひろくまです。
通常、長く付き合うと、結婚前に婚約もしくは、事実上の婚約状態になりますよね。

事実上の婚約状態になっているときに、相手の了承を得ずに一方的に婚約破棄すると、大変なことになるおそれがあります。
今回は、相手の了承を得ずに一方的に婚約破棄する行為の法的責任と、穏便に婚約破棄するための手段について解説します。
以前、看護師の同僚(女性)が、彼氏と婚約し両親の挨拶も終えてた状態だったのですが、何となく愛情が冷めて結婚するのが嫌になってしまいました。
急に結婚するのを取り止め、一方的に婚約破棄して別れを切り出しました。
相手に浮気やギャンブル、DVなどの特別な過失もありませんでした。
一方的に別れてしまったため、関係がこじれ、彼氏が電話や電車で待ち伏せするなどのストーカー行為に発展しました。
最終的にはストーカー行為は収まったのですが、今まで付き合っていた時におごった代金の請求やプレゼント類の返却、冷蔵庫などの家具を郵送で返すように、彼女に請求してきたそうです。
彼女は「男のくせに女々しいやら、気持ち悪い、怖すぎ」などと責めていました。
もちろん、彼氏の言動にも多少の問題はあると思います。
ただ、法律的にはそういった彼女側の感情論だけでは済まされないのです。
一方的な婚約破棄する行為と慰謝料
法律上、婚約成立後に婚約を一方的に破棄すると、婚約破棄に正当な理由がない限り、婚約相手(破棄された側)に慰謝料を請求されるリスクがあります。
慰謝料も甘く考えてはいません。
個別的な事情によって慰謝料の金額は異なります。
一般的な事例での婚約破棄のケースでは、
なんと30万円~300万円程度の範囲で慰謝料を支払わなければいけません。
慰謝料の相場は、破棄された側の非(浮気・暴力・ギャンブルなど)や、破棄された側の精神的ダメージ、ダメージによる仕事への影響などが加味されます。
婚約成立の判断基準
「書面上で婚約していないから、口約束なら大丈夫!」なんて思ったりしてませんか?
実際、そう世の中は甘くありません。
婚約成立しているかどうかは、事実上の婚約状態にあるかで判断されるのです。
例えプロポーズされていなくても、
指輪のやり取りがなかったとしても、
外形的に婚約の事実関係があれば、婚約状態と見なされる可能性が高いです。
外形的な婚約成立の判断基準
外形的に婚約が成立したと判断される基準とは下記の通りになります。
なお下記が全てではありません。
詳細については、弁護士に相談して下さい。
✅長期間の交際期間がある
✅互いの両親・親族に交際の報告や婚約者として紹介
✅食事や旅行、泊まり、半同居、同居などの親密な交際
✅性的関係の間柄や妊娠
✅婚約指輪や結婚式場についての話し合いや下見、準備
✅同居生活での引っ越しや住宅の購入、家具の購入
✅周囲の婚約状態についての認識
✅メール・ライン・手紙などで、親密なやり取りや婚約・結婚などの記載
✅結納の準備や提供
上記に当てはまる場合には、婚約状態にあると見なされる可能性があります。
例え、両親が結婚に反対して婚約を解消した場合でも、100万円以上の賠償金を請求され、実際に支払いの判例が出ています。
婚約破棄された側からの金銭の返還請求
交際期間中のプレゼントや旅行・食事代のおごりは、民法上「贈与契約」に該当します。
いったん贈与契約が成立すると履行完了しているため、交際終了後であっても返還義務はありません。
ただし、書面上で別れた場合に、返還する旨を記載している場合には、返還義務を生じる可能性もあります。
結納や結婚指輪の返還については、婚約を条件に贈与されたものであるため、基本的には不当利益に当たり返還義務を生じます。
ただ、破棄された側に婚約破棄の原因(過失)があった場合には、結納の返還が認められない判例もあります。
婚約にむけて同居のために購入した家や家具の購入についても、返還義務はなくても、慰謝料を請求される可能性はあります。
また、法律的には例え返却義務はなかったとしても、破棄された側の精神状態によっては、金額に応じ返金や返還した方が安全とも言えます。
穏便に婚約破棄するための手段とまとめ
婚約している、もしくは事実上の婚約状態にある場合に、愛が冷めたなどの漠然とした理由で一方的に婚約破棄して別れることは、実は大きな法的リスクがあります。
破棄された側に大きな原因がある場合は別として、そうでない場合には、金銭的な問題だけでなく、相手の重要な時間を無駄にしてしまうため、その代償を賠償金で支払う意味合いもあるのでしょう。
また、下手に別れを切り出すと、互いに感情的になり、ストーカー行為や暴言暴力、恐喝などに発展し刑事事件に発展するリスクもあります。
🌟穏便に婚約破棄するための手段
✅家族や友人に仲介での協力を依頼
✅弁護士に仲介を依頼
✅時間をかけて丁寧に説得し遺恨を残さない
✅事前に書面上で婚約のルールついて同意を取る
無料で相談できる法テラスのような弁護士相談もあるので、ぜひ利用してみて下さい
できれば、弁護士に相談する事態のないように、穏便に相手に配慮し時間をかけて婚約破棄するのが、一番安全で確実な方法でしょう。
家族や友人に仲介での協力を依頼するのもよいでしょう。
一度は婚約を考えた相手なら、できるだけ相手を労わる気持ち(誠実さ)は何より大切です。
この記事が、一方的な婚約破棄を考えている人の踏みとどまるきっかけになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ひろくま(HIROKUMA)
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