皆さん、こんにちは。
皆さんの病院では、器材や備品を破損や故障させたときに、賠償責任を負いますか??

高価な医療機器や病院の備品を破損させて、病院から損害賠償請求されたら、とても支払いしきれないです。

そうだよね。数十万円や数百万円する医療機器で損害賠償請求されたら、とても個人では支払いきれないし。ただ、病院側から損害賠償請求されても、かならず支払い義務が発生するわけではないよ。法律な観点から対処法を解説していくね。
この記事を通して理解できること
✅医療器材や備品を破損させた場合の当事者の賠償責任
✅病院から損害賠償請求をされた場合の当事者の支払い義務と賠償金
✅病院から損害賠償請求された場合の当事者が取れる対策
実際に詳しく損害賠償について考えていきましょう。
病院からの損害賠償請求の可否
業務中に不注意やミスで看護師が院内の医療機器や備品を故障や破損させた場合、病院側は損害賠償請求をすることができるのでしょうか??
損害賠償請求をすることは可能(法律的に合法)です。
本来は、病院側と当事者の看護師両者が合意の上で賠償させるものですが、半強制的に支払額を決定して賠償させているケースもあるのではないでしょうか。
破損伝票や始末書で済めば良いです。
重要なことは、万が一、病院側(上司)から損害賠償請求されたときに、その場でどうするかを即答しないことです。
病院側が損害賠償請求できる権利があることと、当事者である看護師が支払い義務があるかは、また別問題の話だからです。
看護師の過失内容と支払い義務
看護師が、故意に故障や破損させた場合には、損害賠償責任はもちろん発生します。
また、通常行うべき手順を怠ったり省いたりなど、明らかな過失がある場合にも損害賠償責任が発生します。
居眠りや乱雑な取り扱いなども含まれます。
その反面、明らかな過失の見られないミスや不注意の場合はどうでしょうか。
通常通りの手順中に、うっかり手がすべったり、転んだりして故障や破損させた場合などのケースでは損害賠償責任は生じません。

なぜなら、どんなに看護師が注意しても起こり得る可能性が0%ではないからです。
つまり、通常求められる注意義務を果たしていれば、当事者(看護師)の損害賠償責任はないのです。
看護師の損害額に対する弁償金
ある病院では、当事者に破損した物品の全額の数万円を弁償させたケースもあります。
それは、明らかな違法行為です。
居眠りでの破損や故障のような重大な過失であっても、裁判で認められた弁償金は損害額の25%が上限で、重大な過失でも10%程度である判例が多いです。
病院側は、看護師の看護配置や看護手技・処置による診療報酬などで利益を得ています。
病院は利益を受けている分、損失についても使用者責任や危機管理責任を負う法的義務があるのです。
弁償金の割合は、最高でも損害額の25%しか負わないことは覚えておきましょう。
また、本人の同意を得ずに給与から天引きすることも法律違反です。
看護師の過失に対する罰則
重大な過失や病院の秩序に違反する行為については、損害賠償請求以外に、病院から処分として減給処分を受ける場合があります。
悪質な病院であれば、損害賠償請求を拒否したために、報復行為として減給の処分を下される可能性は否定できません。
実際、そんな病院も聞いたことがあります。
本来は、何度注意しても行為を改めない場合(職務上の規則違反の繰り返し)に科すものであり、1度のミスで減給処分することは違法行為の可能性があります。
また、減給額について以下の法的ルールがあります。
✅1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超えないこと
✅減給額の合計が月給の1/10を超えないこと
上記の2つが取り決められています。
就業規則や雇用契約書の確認
あらかじめ就業規則や雇用契約書で、破損や故障した場合は、1回あたり○万円や〇千円などの取り決めは、違法行為です。
なぜなら、業務において通常の注意義務を果たしていれば、賠償責任を負う必要性がないなか、病院が強制的に支払額を取り決めて強制するのは明らかな法律違反だからです。
どういうケースで損害賠償責任を負うかなど、就業規則や雇用契約書などで確認しましょう。
明確な運用基準がなければ、そもそも病院側の言い値で支払う義務もありません。
新たに器材や備品を購入するにしても、新品や中古でも値段は異なり、新品でもメーカーの種類や販売会社によって値段もまったく異なるからです。
修理にしても、メーカーごとに代金は異なり、領収書を渡されるわけでもありません。
自分のミスばかりを気にして、ぜったいに損をしないようにしましょう。
請求額に納得がいかない場合は、その場で支払いには応じず、労働局や無料弁護士相談、裁判所の調停などを利用しましょう。
病院側の危機管理責任
院内の医療機器や備品の故障や破損などに関して、看護師ばかりが責任を負うものではなく、病院側も危機管理責任が生じます。
それは、看護師のインシデントやアクシデントにも同様です。
病院側は、使用者として日頃から以下の4つが求められます。
✅医療機器や備品の故障を予防するための、取り扱いマニュアル整備や教育訓練の実施
✅医療機器や備品の破損や故障を予防するための組織的な対策
✅メーカーの長期保証などに加入(特に高額な機器に関して)
✅病院側で物損に対する保険に加入
上記のことを行っていれば、そもそも損害保険で支払い可能でしょう。

もしかしたら、看護師(当事者)から賠償金を受け取りながら、保険を使って無料で補償されている可能性もあるのです。
まとめ
インシデントと同じく、うっかりミスでの備品や医療機器の破損や故障は誰だってあり得ます。

どんなに注意しても避けられない場合があるのです。
そんな中、身内である看護部や管理職から、個人の過失にされて、心身ともに落ち込まされた上で、損害賠償責任まで負わされては理不尽です。
情報弱者にならず、法律武装して法的根拠から反論しましょう。
先ほど記載した通り、看護師の過失によって生じた損害については、病院も危機管理責任を負う必要があるのです。
そのことを覚えておいて下さいね。
個人的には、自己防衛として数千円と安価な民間の自賠責保険に加入してます。
心配な方は加入するのも1つの手段です。
看護協会の自賠責保険は、年会費が高額でお勧めしません。
もちろん、病院から賠償金を請求されるような事態にならないことがベストです。
万が一、そのような事態が起こった場合に、少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
✅業務において通常の注意義務を果たしていれば、当事者は賠償責任を負う必要性がない
✅通常の注意義務を果たしていない場合でも、当事者は全額賠償責任を負うわけではない
✅病院側も危機管理責任や物損などに対する対策や保険の加入などの対策を取る必要がある
✅個人的に安価な民間の保険に加入し物損に備えることもできる
ぜひ覚えておいてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ひろくま(HIROKUMA)
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