患者や家族のハラスメントと看護師の残業や休暇、業務負担との関連性と対処法

看護役立ち情報

こんにちは。お元気ですか??

皆さんの病院で、患者や家族の質はどうでしょうか??

患者や家族のセクハラやペイハラ(ハラスメント)と、看護師の残業代や負担は、大きな相関性があるのです。

皆さんも、自身の病院や施設のセルフチェックしてみて下さい。

この記事からわかること
患者や家族の質と看護師の残業代や負担には大きな関連性があることを理解できる
自分で働く病院が残業代や負担を強いられやすい病院かをセルフチェックできる
セクハラやペイハラなどのハラスメントに対する対策を理解できる

患者や家族からのハラスメントと残業や休暇との関連性

厚生労働省が2020年に実施したハラスメント調査で、「患者や家族などからの著しい迷惑行為がある職場とない職場の特徴について」の調査結果が非常に参考になります。

患者や家族の迷惑行為のある職場の方が、迷惑行為のない職場より約2倍残業が多く・休暇を取得しづらいとの結果が出てます

また、現場の職員の失敗が許されない・失敗への許容度が低いについても迷惑行為のある職場の方が、迷惑行為のない職場より2,4倍高いと言われています。

つまり、患者や家族の質が悪い職場、患者や家族対応を現場の職員に強いる(病院や施設)では、残業が多く休暇を取得しづらい劣悪な環境だと言えるでしょう

現場職員の労働環境とハラスメントとの関連性

患者や家族の質が悪いと、ハラスメント対応や、ハラスメントの要求に対する対応などで、残業時間が多くなります。

また、ハラスメント対応で本来の業務の遅延や中断などが起こり、職員の人数を多くする必要があるために、休暇を取得しづらくなるのです。

同時に、患者や家族対応の責任を現場の職員に強いていることが、残業の増加に繋がっています。

つまり、病院の上層部や看護部が、ハラスメント問題を病院全体の問題として捉えておらず、現場の職員(主に看護師)に対応や責任を強いる労働環境が、患者や家族のハラスメントを許容や助長していると考えられます

病院と患者・家族との双務契約

金儲け主義の医師や病院ほど、応召義務を振りかざして、ペイハラ患者やカスハラ家族などの存在を容認します。

もちろん、迷惑行為のある患者や家族の対応を避けたい、医師や看護部・総務・事務なども同様です。

病院と患者は双務契約に基づき診療契約が結ばれます

患者側が医療者の診療に協力する義務に反する迷惑行為があれば、医師が診療拒否したり、施設管理者が施設外に退去を命じる(強制退院・受診拒否)ことが可能なのです

もし従わず拒否した場合には、不退去罪が成立し、警察に介入を求めることができます。

業務に支障を来たしていれば、威力業務病害も成立し、損害賠償責任を課すことができる可能性のある重罪行為なのです。

悪質な事例では、まずは謝罪させて誓約書を書かせましょう。

それでも繰り返す例では、威力業務妨害として扱い、診療拒否や損害賠償請求などで段階的に対処することが必要でしょう。

患者・家族からのハラスメント

患者家族の言動が、以下の4つに該当する場合には、ハラスメントに該当します。

身体的攻撃:暴行・傷害行為(身体的攻撃)
精神的攻撃:脅迫・名誉棄損・侮辱・重度の暴言
物理的損害:施設内の器物や備品の破壊・破損行為
不当な要求:治療行為に対しての不当な要求や無視など

以上の行為があった場合は、病院全体の問題と捉えて、解決策を講じる必要があります。

ハラスメントに対する有効的な対策

ハラスメントに対する対応は、個人や現場で対応しきれません。

病院で教えられるものと言えば、以下の対処法ばかりです。

患者や家族との対応に、ただ謝罪や傾聴してやり過ごす
✅患者や家族との対応を記録に残す
✅悪質な患者や家族の場合には、ICレコーダーで証拠を残す
✅ブラックリストの登録リストを作成する
✅暴力を振るわれそうになったら逃げる・応援を呼ぶ

上記のすべてが事後対応で、事前に回避できるものは皆無です

また、ブラックリストを作成したところで、医師が応召義務を振りかざして入院や通院させていれば、現場の看護師にとって何の意味もないのです。

わたし自身「暴力に会いそうになったら、人を呼んだりひとまず逃げて」などと、師長クラスが発言している時点で、その病院に見切りをつけました。

どこに逃げろというのでしょうか??

そもそも事後に解決しても意味がありません

病院の上層部や看護部が、ハラスメントは病院全体としての問題として考えるべきです。

以下に12の対策方法が挙げられます。

✅患者や家族との対面・電話対応時は、録音や録画して対応する(監視カメラを含む)
✅ハラスメント事例を周知し、情報共有やシュミレーション訓練を実施
✅ハラスメント対応窓口を設置して、患者対応を一本化し複数で対応する
✅院内の掲示板や外来・病棟などに、ハラスメントを許さない旨のポスターを掲示する

悪質なハラスメントには、段階に応じて診療拒否や賠償請求する
✅顧問弁護士を雇い適宜相談や介入を依頼する
✅院内でトラブル時には、院内放送(隠語)で人を呼び、数の力や道具で抑制する
✅悪質なハラスメントでは、病院で対応せず、警察を呼んだり弁護士に対応を依頼する
✅悪質なハラスメントでは、ホームページで氏名の公表を検討する
✅警察官の出向受け入れを行う(患者対応窓口や警備員として)
✅近隣や市町村の病院全体で、協力してハラスメント撲滅のための連携を行う

診療時間外や夜間での、病状説明に対する要求に対応しない

病院は、ハラスメントに対するレッドラインやマニュアルを整備し、悪質なハラスメントに対しては毅然とした対応を取り職員を守る必要があります。

病院への直通電話は、患者や家族には教えないことや、夜間は代表番号にしかつながらない(緊急時以外は病棟にはつなげない)ことなどの対策も必要でしょう。

電話窓口も「○○さんの家族から電話がきています」など、要件を聞いたうえで病棟に指示を仰ぐなど、最低限の対応スキルを獲得すべきです。

電話も1回数分程度で自動的に切れるように案内し、クレーマー対策から、非通知や特定番号からの電話は着信拒否にするなどの対策も有効です。

電話対応は看護師の仕事ではありません。

まとめ

患者や家族からのハラスメント行為は、医療現場の雰囲気を悪化させ、残業や休憩時間、休暇などを取りにくい環境にさせます。

結果的に、医療従事者が退職し、ますます医療者不足になり職場環境が悪化し、病院の医療の質も低下します。

市立病院などの公立病院でも、病院全体としてハラスメント対策を取り始めています。

結局のところ、病院全体の問題としてとらえルール化しなければ業務改善できません

また、ルール化しても、ルールをやぶる医師や師長がいれば意味がありません。

少しずつでも、ぜひ上記の12の対策を参考にしてみていただけると幸いです。

ぜひ、患者や家族からのハラスメントを是正して、残業時間を減らし、有給休暇を多く取得できる病院を目指しましょう。

この記事が、少しでも皆さんに役立てば光栄です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

                        ひろくま(HIROKUMA)

投稿を編集 “看護師が過度な要求をするクレーマー患者への応召義務と対処方法を解説” ‹ 看護師ひろくまブログ — WordPress (nurse-hirokuma.com)

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