こんにちは。お元気ですか??
皆さんの病院では、組織全体で不審者対策のために、どのような安全対策を行っていますか??

普段、問題行動のある患者や家族の情報共有はしていますが、日頃から、特別気を付けていることはないです。

病院(管理者)は、患者やその家族だけでなく、わたし達職員に対しても安全配慮義務を負っています。たかが安全管理と思いがちです。しかし、安全管理への取り組み姿勢で、病院の質や職員を守る姿勢や程度が判断できるんだよ。病院見学や実習でチェックするべき項目を解説していくね。
病院の安全管理体制と看護師の責任
病院の病棟や外来では、患者や家族からの身体的・肉体的暴力や、盗難、乳幼児の連れ去り(誘拐)、器物損壊、患者の無断離院などの事件や事故のリスクがあります。
わたし達看護師は、上記の事例が起こらないように心がけていることは、患者や家族対応に注意喚起や対応に注意したり、頻回に訪室や声掛けする程度です。
そんな場当たり的な対応では、事件や事故を予防できません。
いったん事件や事故が起きれば、警察沙汰になったり、患者や家族対応で多くの時間を労します。
さらに、インシデントレポートや病棟カンファレンスでの話し合い、上司からの責任転嫁やつるし上げ行為によって、巻き込まれた当事者のモチベーションや他者評価も低下する危険性もあります。
病院の不審者への安全管理対策
病院の不審者への安全対策は、ハード面とソフト面の両面を整える必要があります。
特に、ハード面を整備せずに、現場レベルの自助努力(ソフト面)に頼っていては解決できません。
以下の10つのハード面での具体的対策が必要です。
✅警備員の配置(警備会社の職員Or警察OB)
✅面会札と面会用紙への記載
✅院内の巡視を兼ねた職員を配置
✅警備会社と契約し防犯カメラの設置
✅動線の工夫(出入口の制限や死角を無くす工夫)
✅IDカードの導入
✅患者の権利と義務について告知(ホームページや院内に掲示)
✅駐車場や出入口にセンサーライトの設置
✅顧問弁護士を雇う
✅非常口の鍵の設置
皆さんの病院では、上記の項目をいくつ満たせていますか??
警備員の配置(警備会社Or警察OB)と動線の工夫
病院に警備員を配置するのは必須条件です。
なかには、夜間に緊急入院を受け入れている病院で、警備員を配置していない病院もありますが、安全管理の面からありえません。
院内の他職種の警備の素人が警備や巡回しても、患者や職員の安全を担保できません。
警備の専門教育や体術訓練・不審者を見抜く訓練を受けた、警備会社あるいは警察OBを配置するべきでしょう。
警備員の多くは、警察OBが採用されていることも多いです。
出入口も、警備室を通らない限り、一般人の出入りを制限するのは基本中の基本です。
面会札と面会用紙への記載とICカード
警備員も、ただ単に座っているだけでは無意味です。
必ず来院者を足止めして、面会用紙に氏名と住所を記載してもらい、病棟に確認をとるべきです。
面会札は院内共通でなく、病棟ごとにひもの色を変えて目立つ札にすべきです。
ただ、毎回病棟に電話確認されても、看護師の負担悪化で病棟業務が回りません。
本来はICカードを導入すべきです。
ICカードがなければ、病棟の出入りやエレベーターが動かないようにするのが一番安全です。
無断離院や盗難などの事件・事故を、事前に予防できます。
さらに、新生児や乳児などのいるエリアでは、ICカードの導入だけでは足りません。
ICタグを装着してもらい、タグにGPS機能を持たせたり、決められた範囲を出るとタグからアラームが鳴るような安全対策も必要です。
確かに金銭はかかりますが、外来や当直医への高給与や、医師や看護部を含めた全職員への適正な査定などを行えば、充分に資金を捻出できるはずです。
個人的に病院機能評価取得などを院内に掲示しても、全く病院の評価は上がりません。
患者や家族にとって、取得=だから何??と伝わるものがないからです。
それより、ICカードやICタグなどで患者が守られていると感じる方が、何倍も病院の評価は上がると思います。
もちろん、防犯カメラの設置、面会前の職員への声掛けなどは必須条件です。
院内の巡視を兼ねて職員を配置
病院によっては、事務や総務の職員が巡視を兼ねて院内を巡回したり、ボランティアやシルバー人材を雇って外来で見張りや声掛けなどの業務を行っています。
格段に安全対策は向上し、地域の方々が病院に関わってもらうのは、病院にとって社会的貢献を含めて非常にメリットが大きいです。
警備会社の防犯カメラを設置
素人が防犯カメラを設置しても、防犯対策は不充分です。
警備会社と契約し、院内の動線の工夫や、防犯カメラを設置することが必要です。
以前、経営陣が費用を出し渋って、総務に防犯カメラをつけさせました。
実際に映像を見ると、肝心なところが映っておらず、全く意味がありませんでした。
患者や家族の権利と義務を告知
外来・入院中の診療契約や患者や家族の権利と義務について、ホームページや院内に掲示したり、入院時に外来あるいは病棟で説明することは必要です。
できれば、書面にサインしてもらった上で入院する形が望ましいです。
患者や家族から「そんなこと聞いていない」との言い訳やクレームを予防できます。
暗に、顧問弁護士や警察OBなどが在籍していることを示すと、事件事故の抑止力につながります。
駐車場や出入口のセンサーライト
駐車場や出入口に、センサーライトを設置するのは必須です。
今時は、ソーラー型のライトが数千円で設置できます。
非常口の鍵の設置
非常口は、内側からのみ開けるようにして、外側からは鍵やIDカード、暗証番号なしに開錠できないようにするのは必須です。
安全管理対策での課題とまとめ
入院患者や家族、見知らぬ人が、自由に病棟や病院を出入りできるような病院は大変危険です。

いざ盗難や無断離院(外出)などが起きても、現場の看護師の責任にされ、インシデントレポートや病棟カンファレンスで場当たり的な対策を繰り返すことになります。
本来は、病院の経営者が安全配慮義務を負っており、安全対策マニュアルを整備したり、不審者対策のシュミレーション訓練する必要があります。
事件・事故に対しては、経営者自らがインシデントレポートやアクシデントレポートを記載し、医療安全管理者や経営陣・管理職と今後の対策を講じて、院内通知したり院内研修するべきです。
今後、高齢者や外国人が増え、日本の一般的な常識や慣習などが通用しない時代が来ると思います。
その時に、自身が犠牲者(当事者)として事件や事故に巻き込まれないように自己防衛しましょう。
院内見学や実習、実地体験などの際は、病院の綺麗さや物品の充実さなどだけでなく、先ほど挙げた病院の10項目の安全対策がしっかり行えているかを吟味して、病院の質を見定めましょう。
最後まで読んで頂き、まことにありがとうございました。
ひろくま(HIROKUMA)
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