採血や点滴による神経損傷と訴訟リスクについて検証。適切な手技を行い危険回避を

看護役立ち情報

こんにちは。皆さんは、普段から採血や点滴を日常的に行うことが多いのではないでしょうか??

もも
もも

採血や点滴で神経損傷させたらどうなっちゃうんだろう??賠償金とか免許剥奪されちゃうんですか??

ひろくま
ひろくま

採血や点滴で神経損傷させて、賠償責任になったらどうしようって気になるよね。

今回は、採血や点滴による神経損傷と訴訟リスクについて考えます。

採血や点滴と神経損傷

神経の走行は個人差があるため、極端な話、どこを穿刺すれば絶対に安全という部位はありません

1万~数万回に1回、採血や点滴の穿刺にともない神経損傷するとの報告があります

明らかに神経損傷のリスクがある部位での採血や点滴を行った上で、神経損傷を起こすと損害賠償に発展するリスクがあります。

神経損傷と損害賠償

上記の述べた通り、神経の走行は個人差があります。

採血や点滴を施行時に適切な部位(一般的に採血や点滴を推奨されている部位)から実施して、神経損傷を起こしても、事前に察知し避けようはないので過失は問われません

実際の裁判でも、採血や点滴の際に神経損傷を起こした事例すべてにおいて、医療側に過失が認められているわけではありません。

あくまで、採血や点滴の実施との因果関係を証明できるかどうかが焦点となります。

採血や点滴による神経損傷した事例で、看護師免許が剥奪された例は、わたしが知る限りでは記憶にありません。

採血や点滴で過失に問われる手技

採血や点滴で施行者の過失を問われる手技は、判例より以下の原因で考えられます。

①手関節部から中枢に向かって12cm以内の部位(橈骨皮静脈)に穿刺

橈骨皮静脈からの採血は、神経損傷を起こしやすく、採血や点滴を避けるように推奨されています。

施設によっては、その部位からの採血や点滴を禁止しています。

判例でも「橈骨神経を損傷しないように注意して行うべき義務があるのは当然」と判決で述べてます。

他に採血・点滴部位がなくても、時間的なプレッシャーや誘惑に負けずに、その部位からの実施は避けましょう。

最近、肘窩部内側の尺側皮静脈は、付近を比較的太い神経が走行しているため、穿刺を避けるように推奨されています。

ただし、個人差も大きく、尺骨皮静脈からの穿刺が禁止されているわけではありません。

②穿刺角度や穿刺が不適切

点滴や採血の際に、穿刺角度が深いと神経損傷するリスクが高まります

なるべく、穿刺角度をつけすぎないこと針を穿刺しすぎないことが重要です。

患者の訴えを無視

わたしも、点滴や採血の際に適切な部位から実施していますが、患者が違和感や痺れを訴えた際には、例え数mmしか穿刺していなくても、逆血が来ている状態であっても、患者に了承を得た上で抜針しています。

患者の感は結構当たる可能性があるので、絶対にそのまま穿刺するのは避けましょう。

採血や点滴実施でのポイント

採血をするイラスト

採血や点滴の代表的なポイントは、以下の7つが挙げられます。

①橈骨皮静脈から穿刺しない特に手関節から10cmはハイリスク

②穿刺の角度をつけすぎない。針を深く穿刺しすぎない

③患者の神経をほぐし、神経の緊張を抑える

④患者が違和感や痺れを訴えた時点で、決して針を勧めず直ちに抜針する

⑤静脈を怒張させ、採血や点滴を施行しやすくする

⑥2度失敗したら速やかに他の看護師と交代する

⑦採血実施後に止血をしっかりと行う

神経損傷と損害賠償責任

神経損傷の裁判では、注意義務違反(損害発生の予見や回避)による過失の有無が問われます

ただし、やむを得ず穿刺したケースなどもあり、必ずしも橈骨皮静脈からの穿刺リスク=損害回避のために穿刺禁忌となっているわけではありません

ただ、なかには神経損傷したと言いがかりをつけてくる、反社会的な患者もいる可能性があります。

その場合、わたしや病院側が毅然とした対応を取るためにも、先ほど述べた過失に問われる可能性がある手技はさけることが無難でしょう。

また、その場でむやみに謝ることは避け、すぐに管理職に報告し、管理職や医療安全委員の指示や対応を仰ぎましょう

単独で対応するのは絶対に避けましょう

針刺し事故については、医療者側の故意や過失がなく、避けられない事例が多いのです。

わたし達にできることは、採血や点滴の適切な手技を行い、神経損傷のリスクを減らすことです。

また、普段からの患者対応による影響も大きいので、日常から患者との良好な関係性を構築していくことが求められます。

この記事が少しでも看護師の皆さんに役立てば光栄です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

                       ひろくま(HIROKUMA)

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