看護師が残業時間を個人や集団(病棟)で残業を軽減するための対処法を考察

看護役立ち情報

こんにちは。皆さんの病院では残業は多いでしょうか??

わたしの働いてきた複数の病院では、定時で帰れるような組織体制でなく、定時で帰れた試しがありませんでした。

もも
もも

いつも、先輩方は勤務時間の40~60分以上前から出勤してるし、夜の8時や9時を過ぎても日勤の人たちが残っています。わたしもそのうちそうなるのかなって思うと、続ける自信がなくなります。

ひろくま
ひろくま

そうだよね。看護師はコメディカルのなかで一番残業もサービス残業ともに多い職種だと思うよ。看護師の残業が発生する理由を考えて、個人や病棟内で残業を軽減するための取り組みと限界について考察していくね。

この記事を読んでわかること
看護師の残業時間が多い理由について理解できる
個人レベルで残業を減らすための対策・方法を理解できる
集団(病棟)レベルで残業を減らすための対策・方法を理解できる
病院レベルでの残業を減らす取り組みの必要性と今後の展望について理解できる

看護師の残業時間が多い理由

代表的な残業代が多い理由には以下が考えられます。

係や委員会業務、チーム会、看護研究、院内研修などの時間外労働
✅勤務時間終了間際の緊急入院
✅予約入院患者の入院時間が遅い(手術目的だとさらに時間を労する)
✅入院後の入力業務や重複業務過多
✅看護師以外でできる業務が多い
✅申し送りが長い
✅人員不足や業務量過多
✅病棟の雰囲気が悪い

非論理的なクリニカルパスや看護記録、観察項目

皆さんの病院でも多くが当てはまるのではないでしょうか。

係や委員会業務、チーム会、看護研究、院内研修などの時間外労働

病院は、係や委員会業務、チーム会活動、看護研究、院内研修、病棟会など多岐にわたり、時間内に行われたとしても、日常業務がその分後回しになるため、時間外労働を生じやすい風土があります。

特に、係や委員会業務、看護研究などは、業務時間外や持ち帰りなどでの仕事も必要になります。

勤務時間終了間際の緊急入院

緊急患者を受け入れる病院では、病棟に空床があるかぎり、24時間緊急入院の可能性があります。

勤務終了の数十分前でも、勤務時間内の看護師が対応するため、必然的に残業は発生します。

予約入院患者の入院時間が遅い

予約入院患者は、入院前に外来受診して、画像検査や採血検査を実施後に入院してきます。

午後入院の患者では、病棟にあがってくる時間がその分遅くなります。

手術予定の患者だと、手術前日に入院するケースが多いです。

入院後に術前ICする病院では、看護師が同意書類を最終確認するため、なおさら書類確認などで残業を生じます。

入院後の入力業務や重複業務過多

入院後、まず書類上の業務や入力業務が多すぎます。

なかには、看護師でなくクラークや医事課でできる業務もたくさんあります。

さらに、電子カルテなのに、なぜか紙ベースで重複する業務が多いなどの徒労な業務も多いです。

入力業務も、未だにクリニカルパスも導入されていない病院だと負担は倍増します。

看護師以外でできる業務が多い

病棟の薬剤チェックや薬庫への薬剤補充、書類書類の受け取りや整理、患者の私物チェックなど、看護師以外でできるような業務がたくさんあります。

申し送りが長い

大抵の病院では、看護師が勤務時間前に担当患者の情報収集をしているものの、各勤務帯での申し送りが長いことが多いです。

師長によっても、毎日同じことを長話したり、話が脱線して申し送りが長くなる傾向があります。

人員不足や業務量過多

人員に対して、適正な業務量でないと、当然ながら時間内に業務は終了しません。

人員不足な病院ほど、余分で重複業務が多く業務量過多になります。

そのような病院では、毎年たくさんの離職者が出るため、さらに人員不足になります。

少人数でも業務量は減らないため、さらに業務量過多となり、離職者が増える悪循環になります。

病院の雰囲気が悪い

ハラスメントな師長・主任や先輩が1人いるだけで、病棟の雰囲気が一気に悪くなります。

些細なことでも病棟内で騒ぎ立てるので、病棟の雰囲気を悪化させます。

その結果、スタッフが萎縮したりムダな気遣いや根回しが発生するため、非常に非効率な仕事になって残業が発生します。

非論理的なクリニカルパスや看護記録、観察項目

検査入院や整形外科、外科の一般的な手術で、クリニカルパスのない病院は論外ですが、パスがあるのに看護記録を入力・記載している意味不明な病院も多くあります。

また、逆に看護記録に書いていることを、観察項目を作成して入力しているような、意味不明な病院も多くあります。

多くの看護部や管理職自体がクリニカルパスや看護記録の運用基準について、精通していないのでしょう。

業務改善という前に、適切なクリニカルパスの導入や看護記録を運用してほしいです。

個人で残業時間を減らすための対策

個人で、残業を減らすための取り組みとしては以下の対策が挙げられます。

✅できる限り、委員会や看護研究、プリセプターなどの業務を固辞する
✅緊急入院や手術対応の際には、周囲に応援を頼む
✅患者が入院する前に、できる限り書類上や電子カルテ上の業務を終了させる
✅自身の申し送りを短くする。朝礼や他者の申し送りに過度に反応しない
✅病棟の雰囲気が悪く残業過多であれば、院内異動も検討する

できる限り、委員会や看護研究、プリセプター業務などを固辞する

委員会や看護研究、プリセプター業務などは、個々の能力よりも頼みやすい(使い勝手がよい)かどうかで上司が依頼してきます。

業務の成果を上げても、めったに他者評価に反映されて昇給賞与がアップすることはありません。

上司は自分で任命してながら、部下が何委員会なのかすら把握していないことも多いです。

係や委員会業務で仕事が終わらない状態=単に仕事の効率が悪いと考えるような無理解な上司だと判断したら、勇気をもって固辞するのもありです。

委員会を受ける場合には、他のチームリーダーやプリセプターなどは受けないなど、交換条件を出す対策は必要です。

以前も、断れない性格のため、どんどん仕事を押し付けられている同僚がいました。

いろいろな仕事を引き受けている=評価が甘くなることはいっさいありません

看護部や管理職はこちらの都合や事情などおかまいなく一方的に一定水準の要求はしてくるので

自己防衛しないと大変なことになります。

自己成長のためにと言われても、成果が給与に反映されないなら、ボランティアと一緒です。

ボランティアなら、まだ叱責や中傷されない分、まだマシかもしれません。

自発的にやりたいと思わせるような対価や報酬を支払えば、委員会や看護研究の依頼をうけるスタッフは一定数必ずいるはずです。

緊急入院や帰室後の対応では、周囲に応援を依頼する

一人で仕事を抱えると非効率になります。

思い切って勇気を出して「ヘルプお願いします」とスタッフステーションや周囲に声掛けしましょう。

助けに来ないスタッフには、こちらも徐々に助けにいくのをやめましょう。

お互い様ですから。

患者が入院する前に、できる限り書類上や電子カルテ上の業務を終了させる

患者の入院前に、いかに書類上の準備や処理、電子カルテの入力作業などを事前準備しているかで大きく残業時間が変わります。

仕事の速い同僚の動きを真似て、アドバイスやポイントなどを得て参考にすると良いでしょう。

自身の申し送りを短くする。朝礼や他者の申し送りに過度に反応しない

申し送りは、短い人と長い人で数十分も差がでます。

自分が申し送るときには、要点を抑えて端的に情報伝達しましょう。

朝礼や他者の申し送りで、送りの内容が脱線する方々は非常に申し送りが長くなります。

気を遣って反応せずに、ある程度聞き流しましょう。

病棟内の雰囲気が悪ければ、部署異動も検討する

病棟によって雰囲気や残業時間がまったく異なります。

病棟の雰囲気が改善されないなら、意向調査や面談で部署異動を希望するのもありです。

わたしの経験的には、循環器・心臓外科・外科などでは申し送りが長い印象です。

集団で残業時間を減らすための対策

集団(病棟)で残業時間を減らすための取り組みとしては以下が挙げられます。

残業した分は残業を申請する
✅集団で重複・ムダな業務や他職種でできる業務について見直しを依頼する
✅委員会・看護研究は極力時間外に院内で行う
✅病棟でクリニカルパスを増やす
✅嫌な同僚や管理職がいれば、集団で相談窓口に相談したり意向調査票に記載
✅病棟の雰囲気が改善されなければ、集団で部署異動の依頼をする

サービス残業を強いられないように、複数で「残業代をとっていいですか?」と申請しましょう。

残業代を取らせてくれない場合には、看護部長やパワハラ相談窓口に複数で訴えるか、意向調査票に残業代について現状に対する不満を記載しましょう。

残業代を取得させないことは、立派なハラスメント(パワハラ)行為ですから。

大切なのは、できるかぎり個人でなく複数で行動することです。

委員会業務や係の仕事も、持ち帰りや休憩時間を削ってサービスで行う必要はありません。

集団で時間外労働してその分しっかりと残業代を取りましょう

嫌な同僚がいたら、師長・主任面談で一緒に日勤や夜勤を組みたくないと相談しましょう。

管理職が問題であれば、看護部か院内のパワハラ相談窓口に訴える、意向調査票に記載する、異動希望を出しましょう。

これも集団で動くのが肝心です。

1~2人であれば微力でも5~6人以上になるとあっという間に10人以上の輪ができます

わたしの経験的にも、5人超えるとあっという間に、ほぼ病棟内全員の賛同を得ました。

集団で意見を集約させて訴えることで、看護部や上層部も動かざるを得なくなります。

集団は力です

看護部や管理職に、看護師以外でできる業務を他職種に指示してもらうのも、他職種が看護師より早く帰れている状況(残業時間)から切り込むと良いかもしれません。

病院の上層部が看護師の残業代を放置できなくなる=ムダな業務を減らす動きになると思います。

そのためにも、時間外労働(休憩を取れなかった時間も含め)をしっかりと取ることが第一です。

病院の組織体質と残業量との関連性

個人や病棟で残業を減らすために取り組めるものは限界があります

結局のところ、病院の組織体質や体制が残業をつくりだしています

従来は、係や委員会業務、看護研究、チーム活動、プリセプター業務などの膨大な業務を、やりがいや責任感をあおって、暗に強制的に押し付けてきました。

わたし自身も、自己研鑽や自己学習などの名目で月に何十時間もサービス残業を強いられました。

今までは、表面的に大きな問題が生じなかったため、病院の経営陣や看護部も、何も考えずに同じやり方を継続するような発想しかなかったのでしょう。

しかし、潜在的には年々離職者が多くなったり、入職者が減っていたりとサインは出ていたはずです。

それを良しとして、看護師のサービス残業や持ち帰り業務などを前提とした勤務体制は将来的に通用しません

これからの時代は、病院や組織として以下の対策が必要になるでしょう。

申し送り時間の短縮やウォーキングカンファの廃止
✅看護師以外でできる業務は他職種に指示する
✅係や委員会の業務は必要最低限で
✅看護研究は義務化しない
✅時間外労働が必要な業務には残業代をしっかり支払う
✅ムダで重複する作業はなくす
✅クリニカルパスを充実させる

人員と業務量をマッチさせる

申し送りはもっと短縮できるし、ウォーキングカンファも患者のプライバシーを害していたり、異動時間がムダで不要でしょう。

整形外科や外科、泌尿器科、検査入院などでは、今時ならほとんどクリニカルパスを導入できます。

他院のクリニカルパスを活用して、パス化して業務を簡略化して負担の軽減が必要です。

離職率の低いホワイト病院では、係や委員会業務は必要最低限の時間で行っていて、サービス残業もなく有給休暇の消化率も良いのが特徴です。

残業時間を抑えるために、人員に応じた業務量に調整しているので、残業自体も少なく離職率も非常に低くなるのは納得でしょう。

以前、看護研究で「ただで病院の名前が売れる」と言っていた管理職がいました。

大学病院ならいざ知らず、市中病院で看護研究が盛ん=病院に入職したいと思う看護師がどれだけいるのでしょうか??

むしろわたしは、市中病院で看護研究がある=ブラックな病院とのイメージです。

それは、看護研究に対しての努力や成果に対して、まず報酬を支払わないからです。

「看護研究は重要だから、研究をがんばった人には賞与や昇給をアップします」と、具体的に金額を指定すれば、進んで研究を行う看護師はかならずいるでしょう。

民間企業で「責任の重い一大プロジェクトを、サービス残業かつ報酬は支払われないけどやりたい人いますか?」と言って受諾する方々はいないでしょう。

看護研究用に勤務日に時間を設けてもらえない場合には、複数で残業時や休日出勤時にしっかりと残業代を請求しましょう。

今までは、多くの病棟業務の最終確認者が看護師=看護師の責任との理屈が成り立っていました

将来的には、すべての職種の残業が均一化(分散化)されてくるような仕組みを作り出さない限り看護師の残業時間に歯止めはかからないでしょう。

均一化できないならば、看護師の業務量も減らして均一化するかの二択でしょう。

また、看護研究や委員会業務、緊急入院などで残業が必要な場合には、しっかりと残業代を支払う組織的な風土も必要です。

まとめ

これからの時代は、一般看護師へのやりがい搾取は通用しません

常に、何か新しい業務を始める=従来行っていた業務を代わりに取り止める調整は必須です。

また、何かを新しく始める=定期的な評価が必要で評価の責任者の所在と評価次第で取り止める仕組みは最低限必要です。

評価の時期や期限を設けるのも必要です。

場当たり的対応や思いつきで指示する看護部や上司が責任を取らない組織だと、いつまでもムダな業務がなくならないです。

そのような組織では、下の管理職もただ忖度するだけで意見できません

個人で行動してもつぶされます個人や集団で結束して病棟会や書面上で要望を出しましょう

それで成果を得られない場合には集団で院内異動を検討しましょう。

最終的には、ホワイトな病院に転職するのも全然かまわないです。

最終的には、病院の残業を減らす取り組みは上層部のやる気と覚悟と誠実さ次第なので。

一般看護師が報われる社会がおとずれるように、がんばって情報発信していきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

                            ひろくま(HIROKUMA)


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