徐放性製剤を粉砕投与と重大な副作用の危険性について解説

看護役立ち情報

皆さん、こんにちは。

皆さんの病院で、嚥下機能の低下している患者や、認知症で拒薬のある患者に対し、薬剤を粉砕して内服させた経験があるのではないでしょうか??

ひろくま
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現場では、ついつい手軽に粉砕投与してしまうことが多いですよね。ただ、徐放性薬剤と知らずに粉砕投与して大変なことになりかもしれません。徐放性薬剤の特徴について考えてみよう

徐放性薬剤の長所(メリット)

徐放性製剤は薬成分が少しずつ長時間かけ放出され続けるように加工された製剤です。

血中濃度の上昇も緩やかになるため副作用も少ないメリットがあります。

その特徴を活かして、降圧剤、抗精神病薬、鎮痛剤、気管支拡張剤、抗糖尿病剤など、様々な薬剤に使用されています。

徐放性薬剤の短所(デメリット)

徐放性薬剤は、患者の認知機能低下があり、飲み込まずに薬剤を噛んでしまう場合には使用できないデメリットがあります。

徐放性製剤は粉砕や割っちゃダメ!!!

徐放性製剤は、粉砕や割るあるいは溶解後に投与すると徐放性が失われてしまい、血中薬物濃度の急激な上昇をまねき、副作用を発現しやすくなるためです。

上記の理由から、精神病や認知症で薬剤の拒薬がある患者や、嚥下機能低下しており、粉砕投与や食事に混ぜて内服させる必要がある場合にも使用できません。

徐放性製剤によっては、製剤のサイズが大きく内服しづらい製剤もあります。

胃瘻や経管栄養などを実施している患者も、溶解投与できないため使用できません。

その場合には、医師に状況を報告し、徐放性薬剤を非徐放性製剤に変更を依頼する必要があります。

徐放性薬剤に関する看護師の知識

徐放性薬剤について、知識が乏しい看護師も一定数おり、粉砕投与すると危険であることを周知する必要があります。

また、徐放性薬剤は一覧にしても、もの凄い数があるため、全ての薬剤名を熟知するのは困難です。

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徐放性薬剤の見分け方

すべての特徴ではありませんが、薬剤名の最後にⓇやⓁが付くものは徐放性薬剤の可能性があります。

例えば、アダラートⓁやテオドールⓇなどが挙げられます。

ちなみにⓁはlong(長く効かせる)、ⓇはRetard(遅らせる)の意味合いだそうです。

他に(CR)がつくものも、徐放性製剤の可能性があります。

薬剤師への粉砕投与の相談

わたしは、今まで二次や三次救急の病院で主に働いていて、主に病棟薬剤師がいました。

もしいない場合でも、薬剤科に連絡して「○○さん(患者名)が錠剤だとむせるので、粉砕投与しても大丈夫でしょうか?」と相談するように心がけていました。

薬剤師は薬剤のプロなので、薬剤師に確認や相談するのが一番確実だと考えています。

代表的な徐放性薬剤

全ての徐放性薬剤を暗記するのは不可能ですが、情報提供として、過去に医療事故のあった事例を踏まえ、覚えておいた方がよい薬剤のいくつかを挙げておきます。

もし時間的に余裕があったら、少しずつでも覚えてみてください。

一般名薬剤名効能
オキシコドン塩酸塩オキシコンチン麻薬性鎮痛剤
ジルチアゼム塩酸塩ヘルベッサーR降圧剤
テオフィリンテオドール、テオロング気管支拡張剤
トラマドール塩酸塩ワントラム鎮痛剤
ニフェジピンアダラートCR、ニフェジピンL降圧剤
バルプロ酸ナトリウムデパケンR、セレニカR抗てんかん・躁状態治療剤、偏頭痛治療剤
モルヒネ硫酸塩MSコンチン、モルぺス麻薬性鎮痛薬
パロキセチン塩酸塩パキシルCR抗不安剤、抗うつ剤
ベラプロストナトリウムケアロードLA降圧剤
パリペリドンインヴィガ統合失調症治療剤
メトホルミン塩酸塩グリピジド抗糖尿病剤

上記については、すべての薬剤名と効能を網羅したものではありません。

あくまで参考程度にして、自身や参考書で調べたり、薬剤師などに確認した上で判断してください。

まとめ

徐放性製剤は、麻薬性鎮痛剤や降圧剤、抗うつ剤など、重要な薬が多いのが特徴です。

医療の現場でも、降圧剤や麻薬性鎮痛剤を徐放性製剤と知らずに粉砕投与して、血圧低下や意識レベルの低下や呼吸状態の悪化などの医療事故が報告されています。

テオフィリンも、過少投与で濃度が低いと効かず、高すぎるとさまざまな副作用が出る薬剤で、治療域と中毒域の差が小さく、非常に管理の困難な薬剤の1つです。

血中濃度がある適性範囲内になるように、テオフィリン濃度などを調べながら、厳密に投与する必要があります。

かりに粉砕投与して、嘔吐や腹痛・食欲不振だけでなく、痙攣や中枢神経系後遺症などの重大な副作用を引き起こすと、医療事故にもなりかねません。

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個人的には、麻薬性鎮痛剤、降圧剤、気管支拡張剤、抗糖尿病剤については、粉砕前に特に注意してほしいと思います。

徐放性製剤を知らない事は、まったく恥ではありません。

「粉砕して大丈夫かな??」と思ったら同僚や上司、薬剤師に相談してみる勇気をもってほしいです。それで充分です。

看護師の感(嗅覚)って本当に鋭くて、院内でナンバー1だと思っているので。

皆さん、事故やインシデントのないように日々乗り切りましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

                         ひろくま(HIROKUMA)

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